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最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)1089号 判決 1948年12月09日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人舎川軍藏上告趣意第二點について。

所論の公判調書に契印を缺いていることは、所謂のとおりである。しかし、公判調書に書記の契印を缺いたからといって、それだけの事由で直ちにその調書を無効とするという規定もなく、またかく解すべき実質的な理由もない。たとい契印を缺いていても、調書の文字の墨色、筆跡その他から見て、該調書が書記によって真正に作正されたものと認め得られる場合においては、調書を無効とすべき理由は存しないのである。そして本件所論の調書は、書記により真正に作成せられたものと十分に認め得られるから、これを罪證に供した原判決には違法がない。論旨は、それゆえに理由なきものである。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑訴第四四六條に從い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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